ミャンマーの雨季

2021.03.09

ミャンマーの気候は?季節や気温の特徴を解説

ミャンマーは日本よりも赤道に近く、平均気温でも日本より温暖な気候です。国土が南北に伸びているため気候にも差があり、北部では温帯に属し、中部・南部といった多くの地域は熱帯に属しています。また、暑季・雨季・乾季と大きく分けて3つの季節があり、日本とは異なる特徴です。

ミャンマーに限らず、海外でビジネスを行う際は現地の気候をも理解しておく必要があります。日本で言う台風のような、季節性のある自然災害リスクへは万全の対策が必要ですし、季節により売上げが変化する商品も多数あるからです。

今回は、ミャンマーの気候の特徴や、ミャンマーの気候とビジネスの関連性について紹介します。

ミャンマーの年間の気候

ミャンマーの季節の象徴

まずはミャンマーの年間を通じた気候の特徴を、日本とも比較しながら紹介します。なお、日本は東京、ミャンマーはヤンゴンを例に見ていきます。

年間を通じた気候の特徴

ヤンゴンのあるミャンマーの中南部は、熱帯に区分されています。日本と比較すると1年を通じて温暖であり、年間を通じた気温の高低差も小さいという特徴があります。

気象庁によるデータから2020年の気温を見ると、ヤンゴンの1年間の平均気温は28.2℃でした。東京の年間平均気温は16.5℃なので、10℃以上も高くなっています。

また、ヤンゴンでは月の平均気温が25.5℃(1月)〜31.8℃(4月)で推移しています。東京の7.1℃(1月)〜29.1℃(8月)と比較すると、年間の気温の変動の差があまりないこともよくわかります(いずれも2020年の数値)。

一方、降水量は東京よりもミャンマーの方が多い傾向にあります。例えば2020年のヤンゴンの年間降水量は2393mm。東京も決して雨の少ない地域ではありませんが、2020年の年間降水量は1593mmでした。

季節によって極端に雨量に差があるのもミャンマーの気候の特徴です。1年を暑季、雨季、乾季に分けて見てみましょう。

3月~5月:暑季

3月から5月というと日本では春にあたる時期ですが、ミャンマーではこの3月~5月が最も暑い季節です。夜は熱帯夜となることも。1日の最高気温が40℃前後になることも珍しくないため、日中は人々もあまり外出しない傾向にあります。

外出する場合はサングラス、帽子などの日差し対策や水分補給など暑さ対策が欠かせません。

ただし雨の量に関して言えば、11月~2月の乾季ほどではないものの、かなり少ない傾向にあります。特に乾季の前半は、天気が安定する傾向です。2020年の場合、3月は降水量がゼロで、5月は218mmでした。

基本的には雨季に向けて徐々に雨の日が増えます。また、湿度は乾季と比較すると高い日が多いです。特に雨季に近づくにつれ、じめじめした日が増えてきます。

6〜10月は、ミャンマーでは雨季にあたります。日本では梅雨から夏、秋へと季節が移り変わっていく時期ですが、ミャンマーでは長きにわたる雨の季節です。

ミャンマーの降水量は日本より多いと紹介しましたが、そのほとんどがこの5カ月間の間に降ります。例えば、2020年のヤンゴンでは6月の月間671mmをピークに、6〜10月の5カ月間の累計で2100mmの降水量を記録しました。ヤンゴンの年間降水量は2393mmでしたから、約90%の雨がこの5カ月に集中して降った計算になります。

雨が多い分、気温は暑季と比較すると若干下がります。それでも日中は最高気温30℃を超える高温多湿の日が続きます。ただし、熱帯夜となる頻度は暑季に比べてやや下がり、月の最低気温の平均は2020年で見るといずれの月も25℃を下回っています。

同時期の東京は、7〜8月ごろを中心に熱帯夜や猛暑日が頻繁に発生することを考えると、この時期に限っては東京の方が暑さは過酷かもしれません。

とはいえ、ひっきりなしに雨が降るので非常にじめじめとした状態が続きます。湿度も当然ながら高い日が続きます。

11月~2月:乾季

乾季は他の季節と比較すると雨が少なく、気候が安定する傾向にあり、また気温・湿度とも快適な水準で推移することが多いので、一般的には観光客にとってのベストシーズンとされています。一気に寒くなり、ときおり雪も降る日本の季節とは対照的です。

月の平均気温は20℃台半ば〜後半前後。年始にかけては低い傾向があり、2020年は1月が平均25.5℃と年間で最も低い平均気温でした。一方、雨が減ることにより最高気温は雨季より高い傾向にあり、35℃を超えることも珍しくありません。

ミャンマーにしては過ごしやすいと言っても、日本の同時期の月平均気温は、一桁になる月も多い(例えば2020年1月で7.1℃)ことを考えると、日本人の感覚ではかなり暑いといえるでしょう。

ミャンマーの雨季の特徴

ミャンマーの雨季イメージ

多くの地域が熱帯に属しているミャンマーの季節の中で、最も特徴的なのは雨季です。日本にも雨が多い季節として梅雨がありますが、梅雨と雨季は大きく異なります。ここではミャンマーの雨季について見ておきましょう。

ミャンマーの「雨季」と日本の梅雨との違い

ミャンマーの雨季は、長期間にわたり強い雨が頻繁に降る時期が続きます。先ほど紹介したように2020年のヤンゴンでは5カ月間で合計約2000mmの雨が降りました。

対して日本の梅雨は概ね6〜7月と期間が短いですし、2020年の東京を例に取ると6月と7月を合計しても321mm。ミャンマーの雨季は日本より長期間で、雨量が圧倒的に多いことがわかります。

実はミャンマーの雨季は、世界の熱帯地域の中でも激しいと言われています。典型的な東南アジアの雨季では、短時間に強い雨が降ったのち、天気が回復するスコールが発生します。しかしミャンマーでは短時間の雨で済まず、スコール並みの強い雨が一日中続くこともしばしばです。

ワーゾー・ボエの期間は催事や旅行を控える

ミャンマーには、ワーゾー・ボエ(雨安居結祭)という特徴的なお祭りの期間があります。ミャンマー暦の第四月の満月の日に行われるもので、日本でいうと7月ごろです。この日から3カ月の期間を「雨安居」と呼び、雨季の中心のような位置付けとされています。

雨安居の期間は、僧侶は外出を禁じられています。ミャンマー人には信心深い仏教徒が多いため、人々も僧侶にならって3カ月間は結婚・旅行・引っ越しなどの行事を控えるのが風習となっています。外国人であっても、現地に従ってこれらのイベントを雨安居の間に行うのは避けた方が良いでしょう。

この風習は、かつてある僧侶が、雨季には自然界の生物は巣ごもりをするのに、僧侶だけが各地を巡って草を踏んだり虫を踏み潰したりするのはおかしいと異論を唱えたことから、同時期の僧侶の外出を禁じたことに由来しています。

雨季ならではの楽しみ

ミャンマーのトロピカルフルーツ

6月~10月:雨季

じめじめしていて雨も多く、旅行も控えなければならない雨季ですが、悪いことばかりではありません。というのも、この時期にはトロピカルフルーツの多くが最盛期を迎えます。

例えば農業ビジネスでミャンマーへの進出を考えているなら、この時期に旬を迎えるフルーツについて研究するのも良いでしょう。

雨季の間に最盛期を迎えるフルーツには次のようなものがあります。大まかな旬の時期と合わせて把握しておくと役立つかもしれません。

マンゴー(タヤッティー):4~7月
マンゴスチン(ミングッティー):5~8月
ドリアン(ドウーヤィンティー):4~6月
ジャックフルーツ(ペインネーティー):3~10月
パイナップル(ナーナッテイー):5~8月
リュウガン(ニンティー):5~10月 ドラゴンフルーツ(ナガーマウッティー):6~11月
シャカトウ(オーザーティー):7~10月


マンゴーやバナナなどは、その中でもたくさんの種類があります。いずれも市場で盛んに出回っている一方で、外国人や観光客にも人気のフルーツです。

こういったフルーツが一気に楽しめるとあって、あえて雨季にミャンマーを訪れる観光客もいます。

気候とビジネスの関係

旅行で訪れる際だけでなく、ビジネスの様々な側面でも、現地の気候を理解しておくことは重要です。ここではビジネスとミャンマーの気候の関係性について見ていきましょう。

商品やサービスの季節性

日本でも、季節によって売れる商品、盛り上がるビジネスは大きく異なることはご存じのとおりです。例えば暑い時期ならエアコン・日焼け止め・酒類や清涼飲料水などの売上が日本で大きく伸びるように、ミャンマーでもサングラス・飲料などは暑季に多く売れます。

観光の需要は乾季に高まりやすいので、旅行代理店や通訳付きガイドなど観光系のサービスは、乾季の売上げを重視してビジネスを展開するのがセオリーです。

現地の気候を理解すれば、自分のビジネスのピークを何月に持っていくべきかを予測できますし、季節特有の課題を踏まえた新規ビジネスのチャンスも見つけやすくなります。

一方で、農業関連など直に天候の影響を受けるビジネスでは、乾季の干ばつ、雨季の洪水や豪雨といった季節特有の災害リスクについても認識し、対策しておく必要があります。

現地の気候に沿った事業展開の例

ミャンマーへのビジネス進出

実際にミャンマーの気候がビジネスにつながった事例を2つ紹介します。

天候インデックス保険

一つはSOMPOホールディングスによる「天候インデックス保険」です。東南アジアの農業事業者向けに販売されているもので、気温、風量、降水量などの天候指標が一定の条件を満たした場合に定額の保険金が支払われる仕組みです。

ミャンマーでは、乾燥地帯の米農家・ゴマ農家向けに、干ばつリスクに対処するための天候インデックス保険が販売されています。これはSOMPOホールディングスが一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)と共同で開発したものです。この商品の場合は、雨量があらかじめ設定された基準を下回った場合に、保険金が支払われます。

物流システムの近代化

また、物流大手の鴻池運輸では、農産品をミャンマー特有の高温多湿の環境から守り、鮮度を維持する物流網の構築を積極的に行っています。これは物流パイロット事業として国交省から委託も受けているもので、物流の近代化を推し進めています。

先に紹介した通り、ミャンマーでは雨季にフルーツなど多くの農産品が旬を迎えます。近年の経済発展によって品質の高い農産品への需要も拡大傾向にあるのですが、ミャンマーの高温多湿の気候の中で鮮度を維持する輸送方法が整備されていなかったため、品質が悪化したり多くの廃棄品を出したりといったことが問題となっていました。

鴻池運輸は、冷凍・冷蔵できるトラックや倉庫などの物流拠点を整備することで、ミャンマーの気候下でも鮮度の劣化を最小限に食い止められる物流網の構築を進めてきました。

こうして近代物流システムが発達してきたことにより、ミャンマーでも気候に左右されることなく、農産物の鮮度を維持して都市部まで輸送することが可能になってきています。

現地事情もあわせて知っておく

もちろん、ビジネスを行う際には気候以外の現地事情を把握しておくことも不可欠です。

例えば、ミャンマーでは電力不足が大きな社会問題となっており、各地で停電が頻発しているという現状があります。暑い国にもかかわらずかき氷が食文化として定着しないのも、電力不足が原因だと考えられています。

長時間電力を消費し続けるエアコンのような家電は、停電時に用をなさないため、必ずしも需要が高いとは限りません。また、ミャンマーの人は倹約家が多く、家電製品をどんどん買い替える、といったことも見られません。

より安価な商品でいうと、熱帯の国では傘を日本人ほど使わないという現実もあります。日本では「天気予報を見て雨が予想されていれば傘を持つ」というのはごく一般的です。しかしミャンマーでは雨季に豪雨が降ると傘で防ぐのは困難なため、雨が多い割に傘の需要は高くないという事情があるのです。

このように気候だけでなく、ミャンマーのインフラ事情や現地の人々の特性を認識しておくことで、新たなビジネスチャンスが見つかるかもしれません。

ミャンマーに進出するなら気候にも留意

ミャンマーの晴天

大部分が熱帯であるミャンマーの気候は、日本とは大きく異なります。極端に雨の多い雨季、乾燥していて過ごしやすい乾季など、日本のどの季節にもあてはまらない季節がミャンマーには存在します。

そして、ミャンマーの季節それぞれで売れ行き商品があったり、自然災害などのリスクがあたりします。現地の気候や季節の特性、またそれに合わせて現地のインフラ事情や国民性などを把握しておくことで、新たなビジネスの失敗を防いだり、ミャンマーの特性を活かした新たなビジネスチャンスが見出せたりする可能性があるのです。

ミャンマー進出を考える際はぜひあらゆることを総合的に見て判断し、現地でのビジネスを成功させてください。