ミャンマーのオフショア開発イメージ

オフショア開発を考える日本のIT企業の中で、近年ミャンマーへの注目度が高まっています。

近年の経済発展が進んでいるミャンマーは、ITのオフショア開発の拠点として適した国でもあるのです。

中国・タイ・ベトナムなどにはすでにIT企業が多数進出しています。しかしミャンマーも、人件費や国民性などにおいて日本のIT企業の需要とマッチしています。日本企業が進出しやすい土壌が、ミャンマーにはすでにあるのです。

今回は、日本のIT企業がミャンマーでのオフショア開発を進めるべき4つの理由を説明します。

ミャンマー経済、これまでの背景

ミャンマー都市部

ミャンマーは2011年まで約50年間にわたり、国際経済から隔離された状態にいました。軍が政権を握り、言論や経済の自由はなく、一部の軍や軍政とつながる起業家だけが経済的な権益を得ていたのです。

もともとミャンマーがイギリスから独立した当初は、近隣諸国の中で最も裕福な国でした。しかし軍政による政権掌握により大幅に経済発展が遅れ、最終的にはアジアの最貧国という位置にまで落ち込むことに。

しかし2011年の民政移管によって、欧米諸国からの経済制裁が解除されたことにより、外国人や外国企業に対する門戸が少しずつ開かれ始めました。

近年では輸入規制緩和により車の販売台数が増え、ミャンマーの首都ヤンゴンではオフィスや外資系ホテルなどの建設ラッシュが進んでいます。スマートフォンも急速に普及しており、ネットバンキングはミャンマー人の中で広く活用されています。

ITリテラシーの高さは日本を凌ぐと言えるでしょう。現在ミャンマーはアジアのラストフロンティアとして、日本をはじめ、世界中から注目を集めています。

理由①コストが削減できる

ミャンマーのIT技術者1人当たりの人月単価は、他の東南アジア諸国と比べても安いです。

中国やインド、タイやベトナムといった周辺諸国ではすでにオフショア開発が進んでいることから、人件費が高騰しています。今からのこうした国への進出はコストメリットが少ないのに対し、ミャンマーならまだ安いコストでオフショア開発ができるのです。

もちろんミャンマーも他国同様に人件費は年々上昇していますが、ミャンマーに進出するのはまだ遅くない状況です。

また、冒頭でも述べたようにミャンマーは2011年より外国企業への門戸を開き、外資企業の受け入れを積極的に行っています。経済成長には外資が欠かせないという方針の元で規制は年々緩和され、IT企業以外にも多くの日系企業が進出や投資を検討しています。

今後、ミャンマーへの注目度とともに日系企業のプレゼンスも高まり、採用コストは下がり優秀な人材も集まりやすい状況になると予想されます。

理由②国民性や文化が日本と似ている

ミャンマーの食文化

ミャンマー人はとても真面目で穏やか。また自己主張を控える国民性です。他の東南アジア諸国の人には陽気で賑やかな傾向がありますが、ミャンマーはそれらの国とは一線を画しています。ミャンマー人の、与えられたことを最後まで愚直に忠実にこなす姿は、同じく真面目といわれる私たち日本人も驚かされるほどです。

穏やかで真面目な国民性は、オフショア開発のコミュニケーションの場でも、私たちにとって有効に働きます。

オフショア開発に必要なコミュニケーション能力

コミュニケーションにおいては、オフショア開発失敗の原因の9割に及ぶとも言われ、国が違う場合はプロダクトの仕様や約束事が完全に伝わらないことも頻繁にあります。

ローカルスタッフにこちらの意向が伝わらずに、希望と違うものができあがる。修正ややり直しに時間がかかり、結果として日本での開発と変わらないくらいの費用がかかってしまった、といった話はオフショア開発の代表的な失敗例です。

もちろん、コミュニケーション問題はミャンマーでのオフショア開発でも同様に起こりうることですが、穏やかで真面目で自己主張を控える国民性は、私たちとも相性が良く、他国よりも開発を進めやすい環境であることは間違いないでしょう。

ビジネスに役立つ精神性

宗教においては、ミャンマーでは日本同様仏教が浸透しており、全体の9割の人が信仰しています。週末には多くの人がパゴダ(仏塔)に祈りに訪れます。所得に占める寄付金の割合は世界でももっとも多く、ミャンマーに敬虔な仏教徒が多いことがうかがえます。

そうした背景から相互扶助の精神と年上を敬う姿はミャンマーにも根付いており、日本古来の考え方とも近いものがあります。

食文化に関しても日本と同じように、米食をメインとしています。米に牛肉の煮込みをかける料理(アメーダーヒン)、お米から作った麺にスープをかけて食べる料理(モヒンガー)、をよく食べます。首都ヤンゴンを中心に日本食は人気であり、カレーや唐揚げ、ラーメンなど、味の濃い日本食が好まれているようです。

理由③日本語能力が高い

ミャンマー人の日本語練習

実はミャンマー語と日本語は文法が似ていて、非常に勉強しやすいと言われています。

日本語を学ぶミャンマー人の増加

最近ではヤンゴンやマンダレーで、続々と日本語学校がオープンしています。また、オンライン語学学校の発達により、手軽に学べるようにもなりました。インターネットを通じ日本の文化が浸透する中で関心も高まっており、今後さらに学習者が増えるのは間違いありません。

ミャンマーを含む東南アジアには、外国語を学ぶ = 自身の収入を上げる という考え方が根付いており、学習意欲も非常に高いです。勤務時間外であっても、自分が必要だと思うことは時間を惜しまず取り組みます。

ミャンマー語と日本語の共通点

日本語とミャンマー語の文法は 主語+目的語+動詞 がベースです。~を、~が、~にといった助詞があるという点でも、日本語とミャンマー語は似ていると言えます。

英語や中国語は 主語+動詞+目的語 という構造で、英語が苦手だという人の中には、この文法の違いが曲者だと感じている人も多いのではないでしょうか。

文法が近いミャンマー人にとって、日本語は勉強をしやすいということもあり、現地のマンダレー外国語大学では、日本語科は英語科に次いで人気があるそうです。

特に、ITのオフショア開発においては、互いの認識を合わせるため十分なコミュニケーションが不可欠なことは前述のとおり。日本語の細かいニュアンスを伝えるための助詞は、外国人には理解されづらいですが、ミャンマー人には比較的理解されやすいです。

理由④買い手市場のIT人材

豊富なIT人材イメージ

現在、日本国内では多くの企業がIT人材の確保に頭を悩ませる状況が続いています。経済産業省によると、2030年には最大79万人もの人材が不足するという試算結果も。労働人口は年々減っていく一方であり、人材確保はさらに難しくなるでしょう。

すでに動き始めている大手IT企業

そこで注目すべきなのが、海外のIT人材です。ミャンマー人はITに関する関心が高く、大学でプログラミングを専攻する人も数多くいます。現地の有名大学であるヤンゴン工科大学は、ミャンマートップクラスのIT教育機関であり、早稲田大学との提携や日本のIT企業へのインターンシップを積極的に行っています。

すでに日立やNTTデータといった日本を代表する大手IT企業でも、ミャンマーのIT人材を採用し始めています。オフショア開発のブリッジSEとしてだけでなく、ミャンマーに限らずアジア地域をマネジメントできるようになることを期待して、中長期的な人材育成をしているようです。

こうした取り組みの背景には、日本企業がミャンマー人のITスキルや業務遂行能力だけでなく、ミャンマー人の真面目で穏やかな人間性にも魅力を感じていることが予想されます。

彼らはどこの職場に入っても評判が良いそうですよ。

ミャンマーのIT人材はまだ豊富

しかしその一方で、日本の大企業に行くような一部の人を除き、IT分野の大学を卒業した人材を受けいれる就職先は足りていません。

日本企業で働くチャンスを得られるのは中心部の大学に通う一部の学生のみで、他にも優秀な学生や、選考の機会すら得られない学生が多数存在しています。

ミャンマーが就職難である理由は、市場経済を解放してからまだ年数が浅く、国内産業が十分に発達していないためです。全体の就職率は50%以下とも言われています。

多くの人が就職先を探しているのに職に就けない、という状況の中で、ミャンマーでも日本のIT企業はその受け皿になってくれる存在だと期待されています。日本側とミャンマー側、双方に大きなメリットがあるのです。

ミャンマーはITの将来性も大きい

ミャンマーのITの可能性イメージ

日本のIT企業がミャンマーでオフショア開発を考えるべき理由を「人件費のやすさ」「文化」「コミュニケーション能力の高さ」「IT人材の豊富さ」の4つの点でご紹介しました。

アジア最後のフロンティア とも呼ばれるミャンマーには、他国からの開発会社の進出はまだ多くはありません。だからこそ、日本のIT企業が進出するメリットはまだ数多くあるのです。

すでにアジアに進出し次の拠点を検討している方、これからの進出先を検討している方は、ぜひミャンマーを第一候補に入れてみてください。