近年、経済発展が著しいミャンマーでのビジネス展開を検討する方が増えています。ビジネスを行う際はミャンマーにオフィスを持つのが一般的ですが、日本と勝手が異なるミャンマーでの不動産探しに苦労する方も多いようです。
そこで今回は、ミャンマーでのオフィス向け不動産探しのポイントや注意点を紹介します。

ミャンマーでオフィスとして多く使われる物件とは?

ミャンマーではホテル・アパートの一室や、一軒家がオフィスとして使用される傾向にあります。それぞれのオフィス活用のポイントを見てみましょう。

アパート

ミャンマーでは日本のような一人暮らし用のアパート物件はあまり一般的ではなく、複数の部屋を持つ家族向けの物件が多くなっています。この複数の部屋を利用して、アパートを住居兼オフィスとして活用する方法があります。
アパートを住居兼オフィスにしてしまえば、不動産選びで通勤時間などを考慮する必要がないため、郊外のリーズナブルな物件を検討しやすくなるのもポイントです。
広義のアパートを「賃貸居住用の不動産」と捉えるならば、ミャンマーでは、アパートは①狭義のアパート(以下単にアパートとします)②コンドミニアム③サービスアパートの大きく3種類に分けられます。
日本人が一般的にビジネスを営む上で居住する都市部ないし近郊の月額家賃相場は、アパートが〜500米ドル、コンドミニアムは1,000〜5,000米ドル、サービスアパートが2,000米ドル〜8,000米ドルというところです。 アパートなら安価な物件も多く、賃料を抑えられます。
しかし安い物件は断水・停電といった設備・治安に課題がある場合も少なくありません。
コンドミニアムやサービスアパートなら設備や防犯対策が充実しているので、予算と設備・安全性を踏まえて慎重に物件を選ぶことが大切です。

ホテル

ミャンマーは東南アジアの中では比較的、住居用物件の賃料が高い国のため、暫定的にホテルの一室をオフィス代りとしてビジネスを営む方も少なくありません。
一定以上のグレードのホテルであれば、ビジネスを営む上で必須のネット環境などは整っていますし、セキュリティ面も安心です。光熱費が発生しない、大抵のホテルは朝食がついているといったメリットもあります。
一方で、コンドミニアムが発展しているため、ホテルは基本的に1泊〜数日程度の短期滞在を基本としたサービスになっていることが多いです。日本でいうウィークリーマンションのような中長期滞在に便利なサービスは一般的ではありません。
また、間取りも一般的なホテルの一室ではアパートより狭くなります。広さを確保するためには、スイートやハイグレードの部屋を選択する必要があるためコストが高くなります。
従って、ビジネス立ち上げの初期にホテルをオフィス代わりにする方はいますが、落ち着いたタイミングでより広いスペースを求めて賃貸物件などに転居するのが一般的です。
ホテルの料金は1泊で10米ドル〜100米ドル程度。100米ドル払えば4つ星5つ星のかなりの高級ホテルに泊まることも可能です。
月額でいうと300米ドル〜3,000米ドル程度ということになります。

一軒家

充分なオフィススペースを確保したい方向けには一軒家も検討余地がありますが、実態として一軒家を選ぶ方は少数派です。
一軒家の場合、水回り・電力などのインフラ設備や庭の整備、防犯対策などを自前で対応しなければならないため、コストと手間がかかることから敬遠されがちなのです。
中には設備が充実し、セキュリティ面の付帯サービスがついている物件もありますが、一般的にかなりの高級物件となるため、新規ビジネスのオフィスとして選ぶ方はあまりいません。家賃相場は月額で1,500〜20,000米ドル以上とばらつきがあります。

基本的な物件の探し方

ミャンマーの不動産

ウェブサイトで事前検索

ミャンマーの不動産業界はデジタル化が進んでいるので、日本で賃貸物件を探すのと同様にウェブサイトから物件を検索することが可能です。日本から物件候補を見つけておきたい場合は、まずウェブサイトで物件を探すと良いでしょう。
現地のサイトとしてはiMyanmarhouse.com(https://www.imyanmarhouse.com/)が物件数・情報とも充実しています。現地語サイトですがGoogleの翻訳機能などを使えば現地語が分からなくとも問題なく使用可能です。
また、一部の日本企業もミャンマーの不動産仲介サービスに乗り出しています。
レオパレス21などはミャンマー不動産の専用検索ページ(http://leopalace21mm.com/)を展開しています。こちらは元々日本語なので安心して使用可能です。

信頼できる不動産業者を見つける

ある程度物件の候補が絞られたら、現地の不動産業者とコンタクトして物件の探索や、契約までの交渉を進めることになります。
ミャンマーでは近年、不動産仲介の法整備が一気に進み、2019年から仲介業者のライセンス制度が導入されました。従って、合法的に営業しているライセンス保有業者と連絡を取ることが重要です。
なお、レオパレス21や、石川商事などの日本企業は、日本人向けにミャンマーでの不動産仲介サービスを行っています。現地でも日本語でコミュニケーションを取ることが可能なので、日本企業を活用するのも良いでしょう。

視察に行く

ウェブサイトや不動産業者の広告・情報などでは物件を正確に判断するのは困難です。
日本と比較して治安の悪いところも少なからずありますし、良いところばかり写真にしている質の低い物件も珍しくありません。
必ず物件全体と周辺環境を自分の目で見てから最終的な契約を進めることをおすすめします。

オーナーと直接連絡を取る

オーナーと直接連絡を取る方法もありますが、基本的にはおすすめしません。先に紹介した通り、ミャンマーでは不動産仲介が充分発展しています。従って個人に直接連絡したことで掘り出し物件が見つかる、ということはあまり考えられません。 それよりも、支払い面でのトラブルや、粗悪な物件を押し付けられるリスクの方が高いでしょう。英語に堪能なオーナーも少ないため、現地語の通訳を雇うなど追加の手間が発生するのも難点です。基本的には信頼のおける不動産仲介業者に間に入ってもらって、物件探しや契約を進めた方が良いでしょう。

物件を探す際のポイント

ミャンマーの不動産

新興国であるミャンマーでの物件探しは、日本の物件探しとは勝手が異なります。ここで紹介するポイントに留意して物件を選べば、契約した後に思わぬ不便を強いられるリスクを回避できるでしょう。

場所

ミャンマーのオフィス不動産選びで一番こだわりたいのは「場所」です。日本でも駅からの距離や通勤アクセスなどを意識して物件選びを行うのが一般的ですが、ミャンマーでは日本以上に立地に気を配る必要があります
ミャンマーは、日本のようには交通網が発達していないので公共交通機関が近くにある物件を選ぶのが第一です。特に現地スタッフなどの雇用を将来的に視野に入れる場合には留意して物件を選びましょう。
ヤンゴンの中心部に限っては都市交通がありますが、それ以外の地域では鉄道の利便性は決して高くないので、バス路線が近くを通る物件を探すのが一般的です。
次に、自身の移動のことを考えると、住居とオフィスを兼ねる場合には通勤距離を考える必要はありません。一方で、住居とオフィスを別に構える場合には職場と住居の距離も考慮する必要があります。
日本人の場合、公共交通機関の日常利用は治安などの面からまだハードルが高く、ビジネス上の移動や夜間の移動などはタクシーや車をチャーターして利用する方が多いようです。コスト面を考えれば職場と住居が近い方が好ましいでしょう。
また、ヤンゴンは中心部になると渋滞が社会問題化しています。完全に渋滞を避けるのは難しいものの、できるだけ交通の流れがスムーズな地域を選びましょう。 また、日常のちょっとした買い物や用事にまでタクシーや車を使用すると、いくら物価の安いミャンマーでも費用がかさんでしまいます。
買い物や公共機関、医療機関など生活する上で必要な施設は徒歩圏にある物件を選んだ方が良いでしょう。
ちなみにヤンゴン市内ではバハン、ヤンキン、ダゴン、サンチャウン、カマユといった南部地域は利便性が高く施設も充実しています。日本人にも人気のエリアなのでおすすめです。

水道光熱状況

続いて注意しておきたいのが水道・光熱といったインフラ設備です。だいぶ改善されてきたとはいえ、ミャンマーのインフラはまだ発展途上。
水道の場合は公共水道が敷かれていない物件もまだあります。
このような物件で日本人が自前で水道設備を整備するのは困難ですので、基本的には公共水道が通っている物件に限定して選んだ方が良いでしょう。
また電気ですが、ミャンマーでは日本と比較して頻繁に停電があります。オフィスで利用する場合、仕事中に停電があるのは困りますので、できるだけ送電網が優れた地域を選ぶことをおすすめします。また、ハイグレードなコンドミニアムやサービスアパートの場合はジェネレーターという発電機がついている物件があります。
こうした物件は停電時も電気が使えるので、資金的に余裕がある方は検討してみると良いでしょう。

日本語契約か、せめて英語契約可能な物件が望ましい

この点はすでにミャンマーの公用語であるビルマ語が堪能ならば意識する必要がありませんが、ビジネスを始める時点ではビルマ語に不慣れな方も多いでしょう。大手が仲介する物件を中心に、現在では諸契約を英語や日本語の契約書で締結できる場合もあります。
日本語契約が可能な物件がベストかと思いますが、せめて英語契約が可能な物件があれば、そちらを優先的に検討するようにしましょう。

契約までの流れと注意点

ミャンマーの不動産契約は日本とは異なる点がいくつかあります。契約までの流れや注意点をあらかじめ認識し、資金不足や思わぬトラブルが発生することのないようにしましょう。

契約時に必要な書類

まず、必要な書類ですが、住居として入居する場合、入居者のパスポートやビザのコピーが必要です。もし契約者と入居者が異なる場合は双方のパスポート・ビザのコピーが必要になるのが一般的です。
一方、オフィスとして不動産を利用する場合は法人契約となりますが、その際も入居者のパスポートコピーとビザのコピーは必要です。その上で、会社の登記簿謄本が必要になる場合がありますので、あらかじめ会社の設立関連の手続きは済ませておくことをおすすめします。
厳格に法令で制限があるわけではないのですが、稀に住居用の物件をオフィス利用目的で契約しようとすると断られてしまうケースがあります。契約の最終的な決定権はオーナーにあるので、断られた場合は潔く別の物件を探しましょう。

1年間契約で先払いが一般的

契約時には申込金を家賃1ヶ月分、先払い家賃を11ヶ月分支払うことになります。申込金は家賃に充当されるので、実質的に先1年分の家賃を先払いして契約する形となります。入居時にまとまった資金が必要である点は注意が必要です。
契約は基本的に1年刻みになっているので、満了したらまた再契約することになります。 尚、近年では都心部中心に1ヶ月単位での契約が可能になっている物件も出てきています。1年分の固定費を支払うのが厳しい場合には、こうした物件の活用を検討するのも一案です。
ただし1カ月単位の契約は割高に家賃が設定される傾向にあります。また、日本の敷金のような位置付けで家賃の1〜2カ月分をトラブル時の保証金として預けるのが一般的です。

途中解約の返戻金はない

コスト面で注意したいのは、1年刻みの契約期間の途中で解約しても、前払いした家賃は返金されないことです。転居の際は契約期間を踏まえて検討しなければ、大幅に家賃が無駄になってしまいますので注意しましょう。

設備の故障時の負担と修理の対応者に注意

日本では健全な不動産契約であれば、経年劣化による空調や水道・電気設備の修理・交換は管理会社が速やかに対応し、費用は大家負担で行ってくれます。ミャンマーではそのあたりのルールが定まっておらず、契約により異なります。
ミャンマーの住居設備は日本と比較すると頻繁に故障するので、まず設備の修理費用の負担が入居者ではない物件を選ぶことが大切です。
また、故障時の修理対応を不動産業者が主体的に行ってくれる契約がベストです。オーナー対応となっている場合、いつまで経っても修理してくれないケースがあるためです。

まとめ

ミャンマーのオフィス不動産選びは、日本とは勝手が異なる部分が多々あります。
新興国にしては家賃が高額なミャンマーでは慎重な物件選びが必要になりますし、契約に際しても注意点すべき点があります。
この記事を参考に、自分がビジネスを営む上で最適な物件を見つけ、スムーズに契約を完了させましょう。